メキシコの気候は、一年が雨季と乾季に分かれる。この雨季の三ヵ月ほどのあいだだけ、島になる町がある。このユニークな町は、メキシコ西部のサン・ペドロ川のデルタ地帯にある「メスカルティタン」。乾季には周囲と地続きだが、雨季には、円形の町の部分だけが、水深一メートルほどの沼地の中に浮かぶ水上都市となり、外部とは船で行き来しなければならなくなる。メスカルティタンは、七世紀ごろのトルテカ文明の時代につくられたという、歴史の古い町だが、いまは、キリスト教風につくり変えられ、町の中心は、教会と広場になっている。町のつくりは、円形になった町の外周のすぐ内側に環状の水路があり、井桁に交差した道路が、町の中心にある方形の広場に伸びている。そして、雨季の町の玄関口となる船着場には、トルテカの象徴であり、現代ではメキシコの紋章となっているワシとヘビの図案が掲げられている。トルテカ文明の時代には、この円形の町と対をなす方形の町が対岸にあって、方形の町には王宮や役所がおかれ、いっぽう円形の町は交易の場として、役割を分担していたらしい。だが、方形の町は今では残っておらず、この円形の町だけが残されているのである。
日本人の海外旅行は、費用の大半が航空運賃のため、ガイドブックや旅行雑誌にはどんなエアラインを選ぶかというようなことばかり書いている。もちろん、それも重要だし、サービスが良くて、しかも割安な航空会社を見つけることも大切だが、正直言って、機内サービスにはそれはどの差があるわけではない。最近ではそのあたりを航空会社側も分かっていて、マイレージサービスなどで、沢山乗る客には優待の航空券を配るというサービスを行っているのだ。それより、滞在地でのホテル選びにもっと注目し、工夫をしたほうがいいように私は思う。考えてもみてほしい。飛行機に乗っている時間は、せいぜい片道10時間だ。しかし、泊まるホテルは3日も4日もその中で過ごす。だから、いい旅をしようと思ったら、まず「いいホテル」を探すことである。いいホテルを選ぶポイントはいくつかある。最も大切なのは、何よりも自分自身で使いやすく、落ち着けるホテルを探すべきだということだ。「ホテル」は、利用する側の好みによってどこがいいか大きく変わる。もちろん誰にでも利用しやすい万人向けのホテルもないではないが、自分の旅の目的に合い、滞在していてホッと寛げるアットホームなホテルが一番だ。ホテル文化の発達した海外では、旅する側の目的に合わせて、超高級からりーズナブルまで様々な種類のホテルがある。また同じホテルの中でも異なったタイプの部屋がある。だから選び方、使い方によって、ホテルは同じ金額を払っても全く違った「旅」になってしまう。それが「ホテル」の面白いところであり、また怖いところなのだ。様々なサービスの集合体である「ホテル」をうまく使いこなせたら、旅は限りなくAクラスに近づく。そのホテルの選び方と使い方を伝授しよう。利用する側の好みといっても、一般的に評価の高いホテルには、やはりそれなりの「共通点」がある。
宇和島城跡には小さな三層の天守閣が残るが、一県で二つの天守閣が現存するのは愛媛県だけである。南予への交通は予讃本線が海岸廻りから内陸部の内子まわりになって大幅に短縮された。その内子は、かつて蝋の産地として栄え、いまでも古い街並みが残っている。また、ノーベル賞作家となった大江健三郎がここの生まれであることでも知られている。愛媛県はミカンと養殖真珠の生産で日本一だが、いずれも南予がその中心である。また、宇和島では闘牛が行われるが、スペインのと違って牛同士の闘いである。近年整備された津島町の南楽園は壮大な池泉回遊式庭園で五月から六月にかけての花菖蒲が素晴らしい。今治は日本一のタオルの生産地だが、ここが本四架橋の尾道・今治ルートの基点となって九つの島を一〇本の橋で結ぶ。このルートの途中にある大三島には大山祇神社があり、ここに平安時代から江戸時代までの甲冑のすばらしいコレクションがあり、国宝も八点を数えている。